TOKYO 0円ハウス0円生活

ホームレスのブルーシートハウスを考証した本。

ホームレスのハウスというのは、ちょっと矛盾している。帯にも、「ホームレスは理想の家を持っている!?」とコピー。確かに、隠れ家的な意味合いでは、理想的で楽しそうだ。

著者は、早稲田大学の建築学科で学んできている。そんな彼がホームレスのブルーシートハウスに興味を持った理由は、何故だろうか。それは、取材と称してブルーシートハウスを訪問し、食事をし、寝泊まりをして体験した判ったお金を掛けない経済性と何でも手元にある効率性、そして移動可能なメカニカルな魅力、そんなところのようだ。

贅沢がすべてではなく、その日暮らしの中に創意と工夫が見られ、そして日々を楽しくすごすその姿に本当の幸せとはなんだろうかと感じたのだろう。実際は、そんなに甘くないことは判っているのだけれど、その魅力には勝てない。どんどん深みにはまる著者も興味深いところだ。