東京シック・ブルース、青春デンデケデケデケ

帯には、「『青春デンデケデケデケ』に続く青春ストーリー」とあったので、続き物かなと読み始めたが、全く違うのでがっかりする。

東京シック・ブルース

東京シック・ブルース

とは言え、面白くないわけではない。『青春デンデケデケデケ』は1965年、『東京シック・ブルース』は1968年が舞台。

全共闘運動・大学闘争まっただ中の学生生活を描いているが、世情は暗く学生たちも鬱屈した日々を過ごしている様子が、どんよりと描かれている。書名の「シック・ブルース」とはその雰囲気をうまく言い表している。

残念ながら、主人公はバンド活動などは行わないし、当時の音楽事情を言及することもない。ただただ、哲学と文学を愛し挫折していく。じっとりと暗い。昨今の学生には、想像もできない世相だ。

青春デンデケデケデケ』を読んだのは文芸賞を受賞した1991年で、『東京シック・ブルース』が書かれたのが5年後の1996年。著者が傑作『青春デンデケデケデケ』を十分意識した作品であるのは間違いないが、たまたまヲレがブックオフで105円で購入したのが2008年という時間差が、読んでみての残念さとギャップを生み出したのだと思う。正直言って、『青春デンデケデケデケ』のストーリ、ほとんど忘れているからな。

もう一度、読み直してみよう『青春デンデケデケデケ』を。