ロッキー・ザ・ファイナル

高校生の頃だったか、初代ロッキーは純粋に面白かった。あの頃のブラスバンドは、皆ロッキーのテーマを演奏していたのでは。

ヲレ的には、その後、何本かロッキー映画を観たような気がするが、あまり記憶がない。『ロッキー・ザ・ファイナル』は、あれから30年、全作より16年ぶりの制作となる。

ロッキー・ザ・ファイナル (特別編) [DVD]

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懐かしさいっぱいで見始めたのだが、見ていてつらくなるほど映画の中のロッキー・バルボアは年老いていて痛々しい。スタローンの面白みのない演技は相変わらずであったが、クライマックスの試合のシーンは見応えあり。

ボクシング映画の中の試合のシーンは数あるが、当然であるが迫力ある演出やカメラワークは進化しつづけていて、観るごとに感動する。

近いところでは、モハメド・アリを描いた『Ali』、伝説のボクサー「ジェームス・J・ブラドック」の奇跡の復活を描いたロン・ハワード監督、ラッセル・クロウ主演の『シンデレラマン』、やはり中年ボクサーの復活がテーマだった韓国映画の『クライング・フィスト』、どれも迫力ある拳闘シーンには感動したものであるが、『ロッキー・ザ・ファイナル』もこれらに勝るとも劣らない迫力で圧巻だ。ゴジラの戦闘シーンみたいな音楽も良い。

そして、手を抜かない作りこみだ。本物の会場と観客。驚くべきことに、リングサイドにはマイク・タイソンが現れ、リングアナウンサーは一声100万ドルのマイケル・バッファー、レフリーはジョー・コルテス。ちなみに、マイケル・バッファーのリングアナウンスを日本語吹き替えで観ることは犯罪だと思う。

結局、この映画は最後の10分程度のために前半からぐずぐずとストーリが進むということで、全体として評価がしにくい。まあ、ロッキーであるからして、最後にあののテーマ曲が聴ければ気分すっきりするというところで落ち着くのでは。