編集者という病い

言わずと知れた見城徹だ。角川春樹のもとで編集者を務め、角川春樹コカイン密輸疑惑事件で退社、幻冬舎を設立し今に至っている。幻冬舎は、不況といわれる出版界で未だ勢い盛ん。

見城徹は、角川書店では、『野性時代』『月刊カドカワ』を担当。数多くの作家を育ててきた。つかこうへいの『つかへい腹黒日記』に頻繁に出てくる見城と同一人物で、アタッシュケースに現金詰め込んで「金で解決するもんだったらオレ言ってくれ」とつかこうへいに詰め寄るシーンが印象的。

編集者という病い

編集者という病い

つかへい腹黒日記 (1982年)

つかへい腹黒日記 (1982年)

で、この『編集者という病い』は幻冬舎からではなく太田出版から出ているが、残念ながらお粗末だ。ヲレが素人だから言えるのだかもしれないが、編集がしていないぞ。過去に書かれたものを一冊の本にしたものだが、「です・ます」調であるものとないものが混在し読みにくい。それぞれ初出が違うので、同じ話題が何度も出てきて読んでいても飽きてくる。編集者がこれで妥協したのかと、とても残念だ。

本棚を探したら『月刊カドカワ』創刊号が見つかった。1983年5月発行(昭和58年)であるが、創刊号ではまだ編集者は見城徹でなく鈴木豊一。執筆陣は今となっては超豪華。瀬戸内晴美、佐藤愛子田辺聖子曾野綾子、落合恵子、村松友視、つかこうへい、和久峻三水上勉、笹沢佐保、遠藤周作。ヲレの青春時代。