太陽

こんな映画があるなんて驚き。天皇ヒロヒトが主人公。しかも、終戦間際から終戦直後の現人神から人間ヒロヒトになるまでの思いっきりグレーな時期だ。まず、映像化されたというだけで価値がある。

太陽 [DVD]

イッセー尾形のヒトヒトは最後まで馴染めなかったが、弱くて悩み震えるヒトヒトの生活を演じたことは、諄いが本当に驚きだ。少なくとも物まねではなく、狂気との境をさまようヒロヒトを演じている。
マッカーサーとの会談も見てきたようなナマっぽい感じ。短い会話のやりとりも知的であり紳士であり感動だ。

これは、日本人が撮った映画ではない（ロシア映画）。最近、ヒトラーの最後を描いた映画がいくつかあるが、まったく権力志向を持たない点を捉えて描いていることが我々の救いだ。そして、天皇って大変だなあなんてぶっちゃけて言えるほど簡単ではない重い歴史の一部だよなと胸の奥のトーンが暗くなる後味。