文豪ナビ「三島由紀夫」

本当は知らないのに知ったふりをしたい人のための作家を冒涜するガイドブック。三島由紀夫を要約するなんて罰当たりだ。新潮社は売れればいいのかと昨今の出版界不況もさもあらん。と言いながらも、ざっと読むとすべてを理解したような錯覚を起こす。なるほど。

文豪ナビ 三島由紀夫 (新潮文庫)

文豪ナビ 三島由紀夫 (新潮文庫)

残念ながら楯の会には触れていない。

われわれ楯の会は、自衛隊によって育てられ、いはば自衛隊はわれわれの父でもあり、兄でもある。その恩義に報いるに、このような忘恩的行為に出たのは何故であるか。かえりみれば、私は四年、学生は三年、隊内で準自衛官としての待遇を受け、一片の打算もない教育を受け、又われわれも心から自衛隊を愛し、もはや隊の柵外の日本にはない「真の日本」をここに夢み、ここでこそ終戦後ついに知らなかった男の涙を知った。ここで流したわれわれの汗は純一であり、憂国の精神を相共にする同志として共に富士の原野を馳駆した。このことには一点の疑いもない。われわれにとって自衛隊は故郷であり、生ぬるい現代日本で凛冽の気を呼吸できる唯一の場所であった。教官、助教諸氏から受けた愛情は測り知れない。しかもなお、敢てこの挙に出たのは何故であるか。たとへ強弁と云われようとも、自衛隊を愛するが故であると私は断言する。(以下、略)

やっぱり中途半端。