震災列島

石黒耀著、講談社刊、1800円。
ヲレは、東海地震の震源域に住んでいる。だから、地震とか原発関係には興味がある。
この小説は、これらを題材にしたものであるが、どうにもストーリの設定が小さい。大規模地震を題材とするのであれば、もう少し大上段に構えた内容にしても良いのでは。主人公の復讐にかかる部分の記載が多すぎて、中ダレ、締まりが無くなっている。
地震発生部分は迫力があるが、これにつてはもう少し遠慮して書くべきでは。というのは、実際にその地域に住む私が読んだとき、かなり不愉快に感じるのだ。小説だから、という理由もあるが、それにしても、その地域で実際に生活している人たちを弄びすぎている。
また、全体的に政治、行政批判が多いが、「あんたが正義ではない」と反論したくなる部分もある。これも不愉快というか、目障りな部分であり、本筋と離れた部分で全体をつまらなくしている。
阪神淡路地震、中越地震などを見ると、その60倍以上といわれる東海地震の恐ろしさはわかっていても、このような小説で書かれると、かなり不安になる。しかし、この本全体がそういう雰囲気であるのだが、漫画チックな表現、軽いノリみたいなところを見ると、本当にそうなのかという疑問も感じる。
いずれにしろ、作者の筆力は、はてなマークであるが、わっーと読み終えるパワーはある。お勧めできないが、読んでみてもいいかもしれない(なんじゃそれ)。
お勧め度:70/100。


震災列島